パソコン内に保管しきれないデータを保存できるNASは外付けHDDの1つで、データの保存先がネット上となっているため、管理や共有が簡単にできるといった特徴を持っています。
そんなNASは複数のHDDを使ったRaid構成となっていて、さまざまな種類があるようです。今回は、そんなNASを使用される方によく選ばれている「Raid5」「Raid10」ではどちらの方が良いのかについてまとめてみました。
これから購入するのであれば、それぞれの特徴やメリット・デメリットをはじめ、機能や速度の違いやどちらの方が優れているのかなど、知っておきたい方は多いはずです。そういった方はぜひこちらの記事を参考にして、自分に合った製品を購入してみてください。
そもそも「NAS」ってどんなものなの?
NASの購入を考えている方の中には、「名前は知っているけど、そもそもNASってどんなものなの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか?これまでに販売されていた外付けHDDに比べて利便性が高いので、購入を検討している方は多いでしょう。
しかし、NASがどういった記憶媒体なのかを知っておかなければ、十分に活用することができないものです。ここでは、まずNASの基本情報について、4つのポイントをまとめてみました。それぞれのポイントをよく把握しておくと、効果的に活用することができるのでぜひ参考にしてみてください。
ネット上で大切なデータを保存できる外付けHDD
従来の外付けHDDの場合は、パソコンと機器を接続することでデータの移行・保存ができる仕組みとなっています。しかし、NASはネット上であなたの大切なデータを保存することができるため、Wi-Fi環境であればいつでもどこでもアクセスすることができる便利な外付けHDDとなっています。
無線で利用できればパソコンを使って作業する場所を確保する必要がないので、とても便利で快適に利用できる記憶媒体といえるでしょう。また、物理障害が起きてもデータ復旧に成功しやすいといったメリットがあるため、NASの方が安全にデータを保存・管理できるのが人気を集めている理由となっているようです。
無線で使えるからスマホから直接データを移すことが可能
無線で利用できる記憶媒体なので、パソコン内で管理しきれないデータだけでなく、スマートフォンに保存しているデータの保存策としてもおすすめされています。ネットを使ってスマートフォンから直接データを移すことができますし、本体の容量を圧迫する動画や画像を簡単に移行させることが可能。
パソコンを持っていない方でもNASを利用することができるので、スマートフォンのデータの保存先として活用している方が増えているそうです。そのため、思い出となるデータをスマートフォン内にたくさん保有している方には、便利でおすすめとなる記憶媒体といえるでしょう。
ちなみに、無線でデータの保存ができるだけでなく、データの共有をすることができるため、企業でも取り入れているところが増えつつあるといわれています。セキュリティも万全でアクセス権限の設定が可能なので、社外秘や顧客情報の管理にも利用できるでしょう。
Raid構成で1つのデータを複数のHDDに保存できる
NASは基本的に複数のHDDを搭載したRaid構成となっています。そして、保存する1つのデータを同時に複数のHDDへと書き込みを行うため、もしも物理障害を起こしたとしてもデータ復旧の成功率が高くなっています。
従来の製品であれば1つのHDDに1つのデータを保存するため、物理障害を起こしてしまうと、専門業者でなければデータを復旧することができないようになっています。しかし、NASであれば1~2つが故障しても、残りのHDDにデータが保存されているため、大切なデータを失う心配がないという魅力を持っています。
デスク周りをスッキリとさせられるためオフィスに最適
無線で利用できてWi-Fi環境下であれば利用場所を選ばないため、デスク周りをスッキリとさせることができます。そのため、企業での利用であればオフィスでの使用のとても最適な記憶媒体となっています。
つまり、「フリーアドレスオフィス」を作ることができるため、作業効率の向上や固定席を設ける必要がありません。さらに、パソコンを持ったまま簡単に移動できるので、社員同士のコミュニケーションの流動化にも期待できるでしょう。
Raid5の基本情報は?特徴やメリット・デメリット
NASを購入される方の多くは、一般的にRaid5の製品を選ぶ傾向があるようです。データの移行速度や安全性もきちんと確保されていて、使い勝手の良い記憶媒体なので十分活用することができるでしょう。
ここでは、そんな一般的に使用されているRaid5の基本情報についてご紹介していきます。どういった特徴があるのか。メリットやデメリットについてまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください。
冗長コード「パリティ」を作りデータを保存するのが特徴
Raid5にはデータを保存すると同時に「パリティ」という冗長コードを作る特徴を持っていて、内蔵された4つのHDDの内1つが故障してもデータ復旧が可能となっています。保存しているデータを完全に取り出すことができるので、故障によってエラーが表示されても慌てる心配がない機器となっています。
分割したデータのブロックとパリティを分散してHDDに保存
保存するデータはRaidシステムによる「Raidコントローラ」で3つのブロックに分けられ、さらに作られたパリティも同じように分割されます。その後、4つのHDDに分割してまとめたデータを分散して保存する仕組みとなっています。
このような仕組みを採用することで、データ移行にかかる機器への負担を軽減させることができるようになっています。さらに、移行速度も高速化することができるため、作業効率を下げることなく利用することができるでしょう。
Raid5の4つのメリット
Raid5には以下のような4つのメリットがあります。
- ・1つであればHDDが故障してもデータを復旧できる
- ・壊れたHDDは交換し、リビルドを実行することで正常に戻せる
- ・HDDの数を増やせば保存容量がアップする
- ・データを取り出す際は4つのHDDで同時処理されるため速度が速い
Raid5にはこれらのようなメリットがあり、速度や安全性に優れていることがわかっています。万が一HDDが壊れても他のところからデータを取り出すことができますし、交換・リビルドによって正常に起動するNASへと戻すこともできます。
さらに、HDDを増やせば容量効率をアップさせることができますし、必要なデータを取り出す際には内蔵された全てのHDDが同時処理を行うため、スピーディーにデータ移行ができるようになっています。
Raid5の2つのデメリット
Raid5には以下のような2つのデメリットがあります。
- ・保存するデータの書き込みを行う性能はあまり高くない
- ・2つ以上のHDDが故障すると使用できなくなる
データの書き込みを行う性能がそれほど高いとはいえないため、性能にこだわる方にはあまりおすすめできないかもしれません。また、内蔵されたHDDが2つ以上故障した場合は、交換やリビルドでも正常に戻すことができないため、使用できなくなるといったデメリットがあります。
Raid10の基本情報は?特徴やメリット・デメリット
NASを購入される方の中にはRaid10を選ぶ方も多く、内蔵されたHDDのそれぞれが冗長性を持っているといわれています。そのため、物理障害にも強く大切なデータをしっかりと守ることができるため、よく選ばれている機器の1つとなっています。
ここでは、そんなRaid10の基本情報について、機器の特徴やメリット・デメリットなどをまとめてみました。購入するNASのRaid構成に悩んでいる方は、ぜひ参考にして自分の目的に合った機器なのかを確認してみてください。
Raid1とRaid0を組み合わせているのが特徴
Raid10は「Raid0」「Raid1」を組み合わせて作られた機器となっていて、保存容量が大きくデータ移行が高速でできる、さらに障害に強いといった特徴を持っています。ちなみに、「Raid1+0」とも呼ばれているので、こちらの機器を検討している方は覚えておくと良いでしょう。
ブロック分けしたデータを各ミラーセットに保存
保存するデータはRaidコントローラでブロック分けされ、ミラーセット1・ミラーセット2などのそれぞれに保存される仕組みとなっています。ミラーセットとはそれぞれが1つのHDDとなり、簡単にいうと2つのデータ保存先に同じデータを保存するといったものです。また、HDDが故障していなければ修復が可能となっているため、障害に強い機器だといわれています。
Raid10の4つのメリット
Raid10には以下のような3つのメリットがあります。
- ・性能バランスが良い
- ・ミラーセットの故障であればデータの取り出しが可能
- ・Raid5に比べて性能が高い
Raid10にはこれらのようなメリットがあり、性能バランスや故障時のデータの安全性が高く、Raid5に比べて高い性能を持っている機器となっています。NASにはさまざまなRaid構成の機器がありますが、性能を重視している方であればREID10がおすすめだといわれています。
また、保存できるデータ容量も多いため、動画や画像などの保存やパソコンのバックアップに使用できます。データ移動速度も高速で行ってくれるので、作業効率の向上も期待できるでしょう。
Raid10の2つのデメリット
Raid10には以下のような2つのデメリットがあります。
- ・Raid5に比べて容量効率が劣っている
- ・最低でも搭載するHDDが4つ必要になる
全体的な性能バランスは良いのですが、容量効率に関してはRaid5に比べて劣っているといったデメリットがあります。また、ミラーセットにてデータを保存するため、搭載するHDDは最低でも4つ必要になるため、コストが高くなってしまうようです。
機能性・安全性・冗長性を重視するなら「Raid10」がおすすめ
これまでにそれぞれの特徴・メリット・デメリットがあることをご紹介してきましたが、「機能性」「安全性」「冗長性」などの性能を重視して選ぶのであれば、Raid10がおすすめです。Raid5に比べて総合的な性能が優れているため、思い出の詰まったデータや仕事に必要な重要データの保管に最適です。
デメリットも少ないので特に大きな問題もありませんし、便利で高機能なNASの購入を検討されている方にはピッタリの記憶媒体となっています。NASのRaid5と10のどちらにするか迷っている、性能の違いを知っておきたいという方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。